前回の記事「レジリエンスという希望」で、こころには回復へ向かう力が備わっているということをお伝えしました。
不安や落ち込みが続いているとき、
「これは回復に向かっているのだろうか」「回復のサインはあるのだろうか」と感じることがあるかもしれません。
ここでいう回復とは、不安や落ち込み、抑うつの状態の中で揺れていたこころが、
その経験を抱えながら、少しずつ安心を取り戻し、
新しいかたちで日常に適応していく過程のことです。
その変化は、多くの場合、とても静かにあらわれます。
眠りが少し整ってきたり、
こころがわずかに軽く感じられる時間が戻ってきたり。
今日は、こころが回復へと向かうときに見られる、
小さく、けれど確かな変化についてお伝えします。
回復のサイン①少しだけ、安心している時間が増える
回復のはじまりには、一日の中で、こころがふっと軽く感じられる瞬間が現れることがあります。
窓の外を眺めているときや、
温かい飲み物を手にしているとき、
静かに座っているときかもしれません。
そのような短い時間は、こころが安心という感覚を思い出し、
いまの現実に少しずつなじみし始めているサインです。
最初はわずかな変化でも、そのような瞬間は、揺れながらも少しずつ増えていきます。
回復のサイン②眠りにあらわれる小さな変化
眠りは、こころの状態と深く結びついています。
強い緊張や不安の中にあるとき、眠りは浅くなったり、途中で目が覚めやすくなったりします。
回復が進む中で、
少し眠りにつきやすくなる日があったり、
目が覚めても、もう一度眠れることがあります。
眠りが完全に整っていなくても、
そのような変化は、こころと身体が少しずつ安心を取り戻し、
環境に適応し始めているあらわれです。
回復のサイン③外の世界とのつながりを感じられる瞬間
回復の途中で、外の空気を吸いたいと感じたり、
光を心地よく感じられる瞬間が生まれることがあります。
それまで自分の内側の苦しさでいっぱいだったこころが、
少しずつ外の世界へと開き始めているサインです。
無理に何かをする必要はありません。
そのように感じられる瞬間があること自体が、
こころが再び世界とつながろうとしている証です。
回復は、一進一退で進む|ぶり返しも回復過程の一部
回復の過程では、楽に感じられる日もあれば、再び不安や落ち込みが強くなる日もあります。
そのとき、「また元に戻ってしまったのではないか」と不安に感じることもあるかもしれません。
けれど、それは回復は一直線に進むものではありません。
波のように揺れながら、その揺れの中で少しずつ前へと進んでいきます。
調子の揺れやぶり返しもまた、自然なプロセスの一部です。
その経験は、これからの自分を支える力にもなっていきます。
同じ場所に戻ったように感じても、振り返れば、前へ進んでいたことに気づくことがあります。
揺れながら歩んでいくそのものが、レジリエンスのあらわれなのです。
「変わりはじめているのかもしれない」という感覚
回復の途中で、「少し変わっているかもしれない」と感じられる瞬間があります。
それがとても繊細で、はっきりしないものかもしれません。
けれど、その小さな手ごたえは、こころが新しいかたちで日常に適応し始めているサインです。
こころを整える具体的な方法については、
こちらの記事「心が疲れているときの環境の整え方」でまとめています。
こころの回復には、その人自身のペースがある
回復は、日々の中の小さな変化として進んでいきます。
調子の良い日もあれば、そうでない日もある。
それでも、揺れながら、少しずつ前へと進んでいきます。
もし、少し眠れる日がある、
少し安心できる時間がある、
そのような瞬間があるなら、それはこころが再び歩み始めている証です。
焦る必要はありません。
こころは、その人自分のペースで、揺れながらも、前へと進んでいきます。
ここを訪れてくださった方のこころが、
少しずつ安心を取り戻していきますように。

