自分を後回しにしてしまうときに|セルフケアを考える

自分を後回しにしてしまい、窓の外を見ながら静かに考えている女性の様子 日々を整える

気づくと、
「まだ大丈夫」と言いながら、
自分を後回しにしていることがあります。

疲れているはずなのに、
予定を減らせない。
しんどいのに、
「これくらい普通」と思ってしまう。

人には「無理しないで」と言えるのに、
自分にはなかなか言えない。

そんなふうに、
自分の状態より、
役割や責任を優先し続けてしまうことがあります。

最近、「セルフケア」という言葉を耳にする機会が増えました。

けれど、
セルフケアとは、
単に自分を甘やかすことなのでしょうか。

この記事では、
「自分を大切にする」とはどういうことなのかを、
“疲れていることに気づけなくなる感覚”から考えていきます。

セルフケアとは何か|自分の状態を無視し続けないという感覚

臨床でも、
状態が崩れるときほど、
人は「自分の状態」に気づきにくくなることがあります。

セルフケアとは、単なる気分転換ではありません。

休暇をとる。
好きなものを買う。
リラックスする時間をつくる。

もちろん、それも大切です。

けれど、
本当に余裕がなくなっているときは、
「何をするか」より、
「自分の状態を無視し続けないこと」の方が大事になることがあります。

疲れている。
余裕がない。
少し張りつめている。

そうした小さな変化に、
まず気づくこと。

セルフケアは、自分を一人の人間として大切に扱う感覚に近いものかもしれません。

「もっと頑張れるはず」が続くときに起きていること

日本では特に、
「頑張ること」が前提になりやすい側面があります。

真面目な人ほど、
自分の疲れに気づきにくいことがあります。

「まだやれる」
「これくらい普通」
「周りも頑張っているから」

そうやって、
自分を押し続けてしまう。

特に、
責任感が強い人や、
人に迷惑をかけたくない気持ちが強い人ほど、
“自分を後回しにすること”が習慣になりやすいことがあります。

けれど、
こころはずっと無視され続けると、
少しずつ余裕を失っていきます。

朝、起きるのが重たい。
人に会ったあと、
必要以上に疲れる。
夜になると、
考えごとが止まらなくなる。

そうした変化は、
「弱さ」というより、
“無理が続いているサイン”なのかもしれません。

セルフケアの第一歩|自分の状態に気づく

セルフケアは「気づき」から始まります。

朝、起きるのがつらい
人に会ったあとどっと疲れる
夜になると不安が強くなる
以前楽しめていたことが楽しめない

こうした変化は、こころからのサインかもしれません。

真面目な人ほど、
「まだ大丈夫」
「もっとがんばれる」と自分を押します。

けれど、
気づくことは弱さではありません。
むしろ、自分を守る力です。

気づけなかったこと

自分の疲れに、あまり気づいていない時期がありました。
それまで、自分の限界を考えたことはありませんでした。

ある朝、体が重い日が続きました。
理由を探しました。

努力が足りないのかもしれない。
気持ちが弱いのかもしれない。

そう考えながら、さらにがんばろうとしていました。

あるとき、ふと、
「疲れているのかもしれない」と思いました。

それだけのことでした。
ただ、力が少しだけ抜けました。

それが、セルフケアの始まりでした。

自分を大切にするとは|足すことより、ゆるめること

「自分を大切にする」という言葉はよく使われますが、
実際には少し曖昧に扱われやすい言葉でもあります。

「自分を大切にする」というと、
何かを“与えること”のように感じることがあります。

ご褒美を買う。
休暇をとる。
好きなことをする。

それも意味はあります。

けれど、
本当に疲れているときは、
何かを足すことより、
自分に向けている厳しさを少しゆるめることの方が、
助けになることがあります。

「もっとできるはず」
「まだ足りない」
「ちゃんとしていないといけない」

そうやって自分を追い立て続けると、
こころは休まる場所を失っていきます。

自分を大切にするとは、

・自分の感情を無視しないこと
・自分の限界を否定しないこと
・自分の価値を成果だけで測りすぎないこと

なのかもしれません。

自分にどんな言葉を向けているのか。
それは、思っている以上に、
こころの疲れ方にも影響していることがあります。

セルフケアと「甘え」は何が違うのか

「甘え」と感じてしまう背景には、
自分への基準が厳しくなりやすい側面もあります。

セルフケアに対して、
どこか「甘え」のような感覚を持つ人もいます。

けれど、
本当に余裕がなくなっているときほど、
人は「休む理由」を認めにくくなることがあります。

疲れているのに、
「これくらいで弱音を吐いてはいけない」と思ってしまう。
つらいのに、
「もっと頑張れる人もいる」と比較してしまう。

でも、
セルフケアは、現実から目をそらすことではありません。

むしろ、
「今、自分に何が起きているのか」を見ようとすることに近いものです。

失敗したときに、
「どうしてできないの」ではなく、
「今日は余裕がなかったのかもしれない」
と少し言い換えてみる。

それは、
自分を甘やかすことではなく、
自分との関係を壊し続けないための感覚でもあります。

疲れている日に、まず減らしてみる

セルフケアというと、
何かを“足すこと”のように感じることがあります。

けれど、
本当に余裕がない日は、
増やすことより、
減らすことの方が助けになることもあります。

返信を少し遅らせる。
予定をひとつ減らす。
夜にスマホを見る時間を少し短くする。

大きく変えなくても、
「これ以上、自分を消耗させない」
という方向へ動くだけで、
こころに少し余白が戻ることがあります。

セルフケアがうまくわからないとき

「自分を大切にする感覚がわからない」
そう感じる人もいます。

それは、
これまで役割や他者を優先してきた時間が長かったからかもしれません。

いきなり大きく変わる必要はありません。

疲れている日に、
少しだけ休む。
無理をしている日に、
少しだけ減らす。
自分に厳しくなりすぎていることに、
少しだけ気づく。

セルフケアは、
劇的な変化ではなく、
そうした小さな調整の積み重ねでもあります。

おわりに

セルフケアとは、

・自分の状態に気づくこと
・無理を無理のまま放置しないこと
・自分を追い立て続けないこと

そんな、
自分との関係を少し整え直していく感覚に近いものかもしれません。

もし今、
疲れているなら、
まずは、
「まだ大丈夫」と言い続けている自分に、
少し気づいてみる。

セルフケアは、その小さな気づきから、静かに始まることがあります。

揺れながら進んでいる感覚については、
回復しているのか分からないときに|揺れながら進むこころの変化」でも触れています。