気づくと、同じことを何度も考えている。
「考えすぎてしまう」と感じる瞬間は、誰にでもあります。
私も、「あのとき別の言い方をすればよかった」
「この先うまくいかなかったらどうしよう」と
何度も思ったことがあります。
考えすぎてしまう自分を、
責めたことがある人もいるかもしれません。
けれど、こころが何度も同じことを考えるのには、
それなりの理由があります。
今日は、思考が止まらなくなるときに
こころの中で何が起きているのかを整理してみたいと思います。
なぜ考えすぎてしまうのか|同じことを何度も考える理由
同じことを何度も思い返してしまう状態は、
心理学では反芻思考(はんすうしこう)と呼ばれることがあります。
考えが止まらなくなるとき、
多くの場合、思考は「答え」を探しています。
・もっと良い選択があったのではないか
・この先うまくいくのだろうか
・何か見落としていることはないか
こうした問いを繰り返しながら、
こころは状況を理解しようとします。
とくに、過去の後悔や未来の不安は、
こころが疲れているときほど強く浮かびやすくなります。
考えること自体は自然な働きです。
ただ、答えが出ないまま思考が続くと、
同じ場所を回り続けるような状態になることがあります。
考えすぎること自体が問題なのではない
「考えすぎてしまう」と聞くと、
考えることそのものがよくないと感じられるかもしれません。
けれど、思考は状況を理解し、未来を予測し、行動を選ぶための大切な働きです。
問題になりやすいのは、
考え続けることで安心を得ようとするときです。
答えの出ない問いを長く続けると、
「もう少し考えれば整理できるのではないか」という感覚が生まれます。
その結果、思考が終わりを見つけられず、
さらに続いてしまうことがあります。
考えすぎて止まらないときに起きている思考の流れ
思考が止まらなくなるとき、
次のような思考ループの流れが起きています。
出来事が起きる
↓
「もっと良い選択があったのではないか」と考える
↓
未来の可能性を想像する
↓
不確実さが増える
↓
不安が強くなる
↓
さらに考え続ける
こうして思考が循環すると、考えても整理されるというより、
同じ問いを繰り返す状態になりやすくなります。
このように思考が止まりにくいとき、
背景には身体の緊張が続いている状態が関係していることもあります。
頭が休まらないとき、身体もまた休めていないことが少なくありません。
緊張が抜けにくくなる仕組みについては、こちら「緊張が抜けないのはなぜ?体の力が抜けない原因と整え方」で詳しく整理しています。
なぜこころは未来を考え続けてしまうのか
思考が止まらなくなるとき、
こころの中ではいくつかの動きが同時に起きています。
1. 不確実性への警戒
人のこころは、
「分からない状態」を長く保つことがあまり得意ではありません。
安心を求め、はっきりとした状態を求めがちです。
先が見えない状況では、
こころは可能な未来をいくつも想定し始め、状況を理解しようとします。
それは、危険を避けるための、人間が本来持っている自然な働きでもあります。
2. コントロール感を取り戻そうとする
状況がはっきりしないとき、
こころは「考えること」で整理しようとします。
考えることで、
少しでもコントロールできている感覚を得ようとするのです。
ただし、未来の出来事は
必ずしも思考だけで整理できるものではありません。
そのため、思考だけが残り続けることがあります。
考えないようにすると余計に考えてしまう理由
思考が止まらないとき、
多くの人がまず試みるのは「考えないようにすること」です。
けれど、思考は
強く抑えようとすると、かえって意識に残りやすくなります。
「考えないようにしよう」
「もう考えるのはやめよう」
と思えば思うほど、
そのテーマが頭にこびりつき、離れないことがあります。
思考を止めようとする努力そのものが、
思考を維持する働きになってしまうのです。
考えすぎる思考を整理するための視点
思考が頭の中だけで続いているとき、
こころは同じテーマを何度も考えすぎることになります。
そんなときは、
考えを一度外に出してみると、
思考の流れが少し変わることがあります。
・紙に書く
・言葉にして整理する
・テーマを分けてみる
頭の中で繰り返していた思考を外に言語化して出すと、
少し距離をとって客観的に見えることがあります。
思考をなくすのではなく、扱い方を変える。
そのほうが、こころは落ち着きやすくなることがあります。
考えすぎてしまう思考は何を守ろうとしているのか
考えすぎを無理に止めようとする前に、
ひとつだけ捉え方を変えてみることができます。
この思考は、何を守ろうとしているのだろう。
失敗でしょうか。
信頼でしょうか。
期待でしょうか。
それとも、「十分でありたい」という気持ちかもしれません。
考えすぎるとき、
そこには警戒だけではない何かが含まれていることがあります。
手放したくないものが
そこにあるのかもしれません。
思考を止めようとする前に、
それが何なのかを見つめてみる。
思考との距離は、
ほんの少し変わることがあります。
まとめ|考えすぎてしまうこころの動き
考えすぎて止まらなくなるとき、
こころは状況を理解しようとして働いています。
それは決して珍しい反応ではありません。
ただ、答えの出ない問いを長く扱い続けると、
同じことを何度も考える状態が続き、
思考だけが回り続けることがあります。
そんなときは、
思考を止めようとするよりも、
少し距離を取って眺めてみる。
考えることは、人にとって大切な働きです。
だからこそ、
思考と少し距離をもって付き合うことが、
こころを守る助けになることがあるかもしれません。

